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頻尿の原因を年代別に解説|60代から増える3つの要因と対策法

頻尿とは何か?年齢とともに変化する排尿パターン

「トイレが近い」と感じることはありませんか?

頻尿とは、一般的に1日(24時間)の間に8回以上の排尿がある状態を指します。日本泌尿器科学会では「朝起きてから夜就寝するまでの排尿回数8回以上の場合を頻尿という」と定義されています。頻尿は水分の取りすぎや加齢に伴う影響で感じる方が多く、その原因は「男性・女性」「若年層・高齢層」「人の生活様式」でも異なります。

年齢を重ねるごとに、排尿回数は自然と増加していく傾向があります。40歳を超えると男女ともに「尿意(トイレが近い)」「尿が出にくい」といった症状が出る傾向が見られはじめ、高齢者では「夜間の尿意(就寝中に尿意で目が覚める)」といった夜間頻尿の症状も出てきます。実際、60代以上で夜中トイレに起きているとされる割合は、なんと7~8割にも達します。

年代別に見る頻尿の原因と特徴

20代~30代の若年層における頻尿の原因

若年層の男性では、前立腺炎や尿路感染症(膀胱炎など)といった炎症性疾患の影響と考えられることが多く見られます。若い男性の場合、男性特有の前立腺肥大症や前立腺がんなどの影響であることは考えにくいです。一般的に加齢に伴う症状が多いためです。

女性の方では、膀胱炎などの尿路感染症、過活動膀胱が主な原因となります。炎症性の疾患の影響と考えられることが多く見られます。男性よりも女性の方が身体の構造的にも膀胱炎になりやすいという特徴があります。

40代~60代前半の中高年における頻尿の原因

40歳を超えると、およそ8人に1人は「頻尿」の症状があるといえます。

とくに増えてくるのが男性特有の前立腺という臓器に由来する疾患です。前立腺肥大では、大きくなった前立腺が膀胱を圧迫することが刺激となり昼夜間ともにおしっこの回数が増える要因となります。前立腺肥大症、過活動膀胱、前立腺炎、前立腺がんなどが主な原因として挙げられます。睡眠時無呼吸症候群も夜間頻尿の原因となります。

女性においても、40歳を超えると過活動膀胱と診断される方の割合が増えていきます。過活動膀胱は日本で約800万人以上の方が罹患する頻度の多い病気で、膀胱に尿が十分にたまっていないのにも関わらず、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮し、頻尿となります。

60代以降の高齢者における頻尿の原因

高齢者では、前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎、膀胱がん、膀胱炎、過活動膀胱、神経因性膀胱など、さまざまな疾患が原因となります。男性においては、中高年以降に見られる疾患と同様の病気に由来することが多いです。

また、高齢者では生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)や睡眠時無呼吸症候群などとの関連も考えられます。そのほか、心因性、多尿(尿量の増加)が原因の場合もあります。

60代から急増する3つの主要な頻尿要因

要因1:夜間多尿の増加

夜間多尿には、24時間尿量が多い多尿と夜間のみ尿量が多い夜間多尿があります。65歳を超える方では、24時間の尿量のうち、夜間の尿量が33%を超える場合が夜間多尿と判断されます。

夜間多尿の原因には、水分過剰摂取、抗利尿ホルモンの分泌低下、心血管の問題、睡眠時無呼吸症候群、薬やお酒の影響などが挙げられます。夜間頻尿の80%の方は水分を過剰に摂取しています。水分摂取量が多ければ当然のことながら尿量が増えて排尿回数が増加します。

抗利尿ホルモンは夜間に多く分泌されることで夜間尿量を減少させているため、加齢に伴い夜間の抗利尿ホルモン分泌が減少すると、夜間尿量が増えてしまいます。心不全や加齢による心機能低下は日中立っている間に下半身に水分を貯留し浮腫につながってしまいます。そのため、夜横になると下半身の水分が血管に戻って血液量が増えるため心臓に負担がかかり、心臓から利尿ホルモンが出て尿量が増加します。男性ホルモンのテストステロンが低下することも、抗利尿ホルモンの分泌低下に繋がります。

要因2:膀胱蓄尿障害の進行

膀胱蓄尿障害は、膀胱容量自体が低下したり、尿を出し切れなくなったりすることで尿を十分に溜められなくなる障害です。

過活動膀胱では、膀胱が過敏になって、十分に尿が溜まっていなくても膀胱が収縮してしまう状態です。夜間に2回以上トイレに行く患者の31%が過活動膀胱とされています。前立腺肥大症では、男性の前立腺が大きくなるなどにより膀胱出口部を閉塞してしまい、様々な尿トラブルを引き起こします。前立腺肥大症の代表的な症状は尿の出が悪くなることですが、夜間頻尿や過活動膀胱の要因となります。

要因3:睡眠障害との相互作用

夜間頻尿と不眠は互いに関係し悪循環を引き起こすことが知られています。夜間に尿意を感じ目が覚める場合と、逆に夜間に目が覚めると尿意を感じる場合もあります。高齢になると深い睡眠が減り中途覚醒が多くなりますが、中途覚醒は膀胱容量の低下を招き、夜間頻尿につながります。

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が停止し、心臓へ負担を生じるため、心臓の不可を減らそうと反応して利尿ホルモン(心房性ナトリウム利尿ペプチド)が分泌される結果、尿量が増加します。

夜間の頻尿の原因として多いのは、眠りが浅く日中同様に尿意を感じて頻尿になる睡眠障害によるものと、夜間の尿量を減らす抗利尿ホルモンの分泌不足などが考えられます。

頻尿がもたらす健康リスクと生活への影響

夜間頻尿は、その後の健康寿命に大きな影響を与えることがあります。

年齢を重ねた方では、夜間トイレに行く際に転倒を起こしやすく、転倒は骨折・寝たきりにつながる可能性があります。東北大学の研究チームによる5年間にわたる追跡調査では、70歳以上の方で夜中トイレに2回以上起きる人は1回以下の人に比べて、骨折を起こす割合が2倍、死亡率が1.6倍になるというショッキングな結果も報告されています。

また、熟睡できないことが引き金となり、不眠症や抑うつ状態を引き起こすリスクもあります。夜中にぐっすり眠って朝すっきりと起きる生活は、これからの人生を健康に過ごすカギとなります。よく眠れたという満足感が得られなかったり、昼間眠気に襲われたりと、毎日の生活の質に大きな影響を与えます。

年代別の頻尿対策と生活習慣の改善法

水分摂取の適切な管理

夜間頻尿の原因で意外に多いのが、水分のとりすぎです。夜間頻尿の患者さまで水分を適正量まで制限したところ、夜間トイレに起きる回数が1回以上減ったという研究結果も出ています。

適切な水分摂取量を守ることが大切です。体重あたり20ml(体重60kgの方は1200ml)を目安に、1.5リットルを目安にしましょう。水分を取るタイミングにも注意が必要で、夕方以降は水分控えめにすることが推奨されます。利尿作用のあるカフェインやアルコールは夜控えることも重要です。「寝る前のコップ一杯の水」を控え、水分の多いサラダや果物は夕食では控えめにすることも効果的です。

寝る前の水分摂取が腎機能を保護したり、脳血管イベントを抑制する、という医学的エビデンスはありません。多くの方は水分の摂り過ぎが夜間頻尿を引き起こしています。

生活習慣の見直しと環境整備

覚醒閾値の下がってきた方が、夜中に目が覚める回数を減らすには、眠る環境を整えるのもひとつの方法です。たとえば、寝苦しくて目が覚めないよう、エアコンを上手に使って部屋の温度や湿度を快適に保つ、あるいは、外の光や音が入ってこないようなカーテンをする、といった工夫が効果的です。

また、体内の水分がふくらはぎにたまっている場合もあります。夕方、すねにむくみを感じ、朝はむくみが改善または解消している方は、夜間多尿の可能性があります。このような場合は、日中の適度な運動や下肢の挙上などが有効な対策となります。

医療機関への受診タイミング

夜トイレに起きる回数が60代の方で1回、70代の方で2回程度であれば通常の範囲と言えます。セルフケアで改善することもありますが、夜間に起きる回数が多く、日常生活に支障をきたすほどであれば、早めの受診をおすすめします。つらい・困っているとご本人が感じたら、夜間頻尿の治療対象となります。

血尿が出る場合は、がんや尿路結石症の可能性があり、放置することで病気が進行してしまう可能性があります。下腹部や泌尿器に痛みのある場合は、細菌感染などを起こしている可能性があります。これらの場合は早めに泌尿器科を受診してください。

まとめ:年代に応じた頻尿対策で健康寿命を延ばす

頻尿は年齢とともに増加する症状ですが、その原因は年代によって異なります。20代~30代では炎症性疾患が主な原因であり、40代~60代前半では前立腺肥大症や過活動膀胱が増加します。そして60代以降では、夜間多尿、膀胱蓄尿障害、睡眠障害の3つの要因が複雑に絡み合って頻尿を引き起こします。

適切な水分管理、生活環境の整備、そして必要に応じた医療機関への受診が、頻尿対策の基本となります。頻尿は比較的早期に現れる症状ですので、腎臓病の早期発見、早期診断につながる大切な症状でもあります。「特に水分を多くとっていないのに尿量が増えた」「最近頻繁に尿意を感じる」などの症状がある方は、早めの受診をお勧めします。

頻尿の症状は薬の内服で緩和することができますが、生活習慣や日頃のストレスからも影響を受けますので、さまざまな視点から治療に取り組むことが必要です。我慢すること無く是非一度ご相談ください。

頻尿でお悩みの方は、泌尿器科専門医による適切な診断と治療を受けることが大切です。詳しい診療内容や最新の治療法については、皆川クリニックまでお気軽にご相談ください。

著者情報

皆川真吾

医学博士・泌尿器科学会専門医・指導医

泌尿器内視鏡学会腹腔鏡手術認定医

CVP(接触式前立腺レーザー蒸散術)プロクター

埼玉県出身。平成13年に秋田大学医学部医学科を卒業後、同大学医学部附属病院、虎ノ門病院、NTT東日本関東病院、聖路加国際病院などで研鑽を積み、令和2年に皆川クリニックを開設。泌尿器科専門医として、日々の診療に携わっています。

Best Doctors in Japan 2024-2025にも選出。ベストドクターズ公式サイト:https://bestdoctors.com/japan/

詳しい診療内容や診療時間については、皆川クリニック公式サイトをご覧ください。

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