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男性更年期障害と頻尿の関係性|原因と効果的な予防法
男性更年期障害と頻尿の意外な関連性
「最近、夜中に何度もトイレに起きてしまう」「日中も頻繁にトイレに行きたくなる」そんな悩みを抱えていませんか?
実はこれらの症状、単なる加齢現象ではなく、男性更年期障害が関係している可能性があります。男性ホルモンの低下は、排尿機能にも大きな影響を与えるのです。
男性更年期障害は、加齢による男性ホルモン(テストステロン)の低下によって引き起こされる症状の総称です。一般的に50〜60代に多く見られますが、早い方では40代から症状が現れることもあります。
頻尿はその代表的な症状の一つであり、日常生活の質を大きく下げる要因となっています。なぜ男性ホルモンの低下が頻尿を引き起こすのか、そのメカニズムと対策について詳しく解説します。
男性更年期障害とは何か?
男性更年期障害は医学的には「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」と呼ばれています。女性の更年期障害は広く知られていますが、男性にも似たような症状が現れることをご存知でしょうか?
テストステロンは20代をピークに徐々に低下していきます。この低下が40代以降に加速し、様々な身体的・精神的症状を引き起こすのです。
男性更年期障害は決して珍しい病気ではなく、日本には約600万人もの潜在患者がいるとされています。
テストステロンには、筋肉や骨を強くする、性機能を正常に保つ、判断力や理解力などの認知能力を高める、といった多様な役割があります。そのため、テストステロンが低下すると、全身に様々な影響が現れるのです。

男性更年期障害の主な症状と頻尿の関係
男性更年期障害の症状は大きく分けて、身体症状、精神症状、性機能の症状の3つに分類できます。
身体症状としては、ほてりや多汗、疲労感、筋力低下、肥満などが挙げられます。精神症状には、イライラや不安感、うつ傾向、集中力低下、意欲減退などがあります。そして性機能の症状としては、性欲減退、勃起不全(ED)、そして今回のテーマである頻尿が含まれます。
では、なぜ男性ホルモンの低下が頻尿を引き起こすのでしょうか?
テストステロン低下と頻尿の因果関係
男性ホルモンであるテストステロンが減少すると、一酸化窒素(NO)の生産が低下します。一酸化窒素は血管を拡張させる働きがあるため、その減少によって血流が悪くなります。
血流の低下は膀胱の柔軟性を損ない、膀胱が十分に拡張できなくなることで、尿を溜める容量が減少します。その結果、少量の尿でも膀胱が満杯と感じ、頻繁にトイレに行きたくなるのです。
また、テストステロンの低下は抗利尿ホルモンの分泌も減少させます。これにより、夜間の尿量が増加し、夜間頻尿のリスクが高まります。
さらに、テストステロンには骨盤底筋の強化にも関わる働きがあります。この筋肉が弱まると、膀胱や尿道をしっかりと支えられなくなり、頻尿や尿漏れの原因となることもあるのです。
このように、男性ホルモンの低下は複数の経路を通じて頻尿を引き起こします。
頻尿の原因となる他の疾患との見分け方
頻尿の原因は男性更年期障害だけではありません。他にも様々な疾患が関係している可能性があります。適切な治療を受けるためには、原因を正確に特定することが重要です。
頻尿を引き起こす主な疾患には、前立腺肥大症、過活動膀胱、前立腺炎、膀胱結石、膀胱炎、膀胱がんなどがあります。また、糖尿病や心因性の頻尿もあります。
特に前立腺肥大症は50歳以上の男性に多く見られ、頻尿の主要な原因となります。前立腺が肥大して尿道を圧迫することで、排尿障害が生じるのです。
男性更年期障害による頻尿の特徴
男性更年期障害による頻尿には、いくつかの特徴があります。
まず、他の更年期症状(ほてり、多汗、疲労感、イライラなど)を伴うことが多いです。また、朝立ちの減少や性欲の低下といった性機能の低下も同時に見られることが特徴的です。
そして、ストレスや疲労によって症状が悪化する傾向があります。ストレスは男性ホルモンの生成を阻害するため、更年期症状を悪化させる要因となるのです。
一方、前立腺肥大症による頻尿は、尿の勢いが弱くなる、尿が出にくい、残尿感があるといった症状を伴うことが多いです。
男性更年期障害と前立腺肥大症は併発することも多いため、専門医による正確な診断が重要です。
男性更年期障害による頻尿の診断方法
男性更年期障害による頻尿を診断するためには、いくつかの検査が必要です。
まず、AMSスコアと呼ばれる質問票を用いて症状の評価を行います。これは男性更年期障害の診断に広く用いられている評価方法で、様々な症状の有無や程度を点数化します。
次に、血液検査でテストステロン値を測定します。2022年に日本も海外の基準に合わせて、第一に総テストステロンを測定します。午前中の総テストステロン値が 250 ng/dL 未満の場合、LOH症候群と判断されます。また、総テストステロン値が 250 ng/dL 以上の場合でもLOH症候群の症状がある場合は遊離テストステロンを測定します。遊離テストステロンが7.5pg/ml未満の場合はLOH症候群と判断されます。血液中のテストステロン値は日内変動があるため、正確な診断のためには午前中(できれば午前11時まで)に採血を行うことが推奨されています。
また、頻尿の原因が男性更年期障害なのか、他の疾患なのかを見極めるために、尿検査や超音波検査なども行われます。前立腺の状態を確認するために、超音波検査で前立腺の大きさを測定することもあります。
専門医への相談のタイミング
頻尿の症状がある場合、特に以下のような状況では早めに専門医に相談することをお勧めします。
- 夜間に3回以上トイレに起きる
- 急に頻尿になった
- 排尿時に痛みがある
- 血尿が出る
- 尿の勢いが弱くなった
- 残尿感がある
- 日常生活に支障をきたしている
男性の泌尿器系の問題は、泌尿器科やメンズヘルス外来で相談できます。症状を我慢せず、早めに専門医に相談することが大切です。
男性更年期障害による頻尿の効果的な治療法
男性更年期障害による頻尿の治療には、大きく分けて生活習慣の改善と医学的治療の2つのアプローチがあります。
症状が軽度の場合は、まず生活習慣の改善から始めることが多いです。症状が重度の場合や、生活習慣の改善だけでは効果が不十分な場合は、医学的治療を検討します。
生活習慣の改善
男性ホルモンの低下を防ぎ、分泌を高めるために、以下のような生活習慣の改善が効果的です。
- 適度な運動:特に大きな筋肉を使う運動(スクワットなど)が効果的
- 十分な睡眠:テストステロンは睡眠中に分泌されるため
- ストレス管理:過度のストレスは男性ホルモンの生成を阻害する
- バランスの良い食事:亜鉛やビタミンDを含む食品が有効
- 適正体重の維持:肥満はテストステロン低下の原因になる
- 競争的な活動:ゴルフやテニスなど仲間と競い合う活動も効果的
特に運動は、テストステロンの分泌を促進するだけでなく、骨盤底筋を鍛えることで頻尿の改善にも直接的に効果があります。
医学的治療
生活習慣の改善だけでは症状が改善しない場合は、以下のような医学的治療が検討されます。
男性ホルモン補充療法(テストステロン補充療法)は、テストステロン値が著しく低下している場合に検討される治療法です。テストステロン製剤の注射を2〜4週間に1回行い、男性ホルモンを補充します。
この治療は約6割の患者さんに効果があるとされています。治療期間は通常3ヶ月程度行って効果を見極め、効果がある場合は1年を目安に継続します。
また、症状に応じて、抗うつ薬や抗不安薬、骨粗しょう症薬、ED治療薬などが処方されることもあります。
頻尿に対しては、膀胱の過剰な収縮を抑える薬(β3刺激薬など)が処方されることもあります。

男性更年期障害と頻尿を予防するための日常生活の工夫
男性更年期障害と頻尿を予防するためには、日常生活での工夫が重要です。以下に、効果的な予防法をご紹介します。
食生活の改善
テストステロンの生成に必要な栄養素を積極的に摂取しましょう。特に以下の栄養素が重要です。
- 亜鉛:牡蠣、牛肉、ナッツ類、卵黄などに多く含まれる
- ビタミンD:日光浴、きのこ類、魚類などから摂取できる
- 良質なタンパク質:肉、魚、卵、大豆製品など
- 健康的な脂質:オリーブオイル、アボカド、ナッツ類など
一方、過剰なアルコールやカフェインの摂取は控えましょう。これらは利尿作用があり、頻尿を悪化させる可能性があります。
また、夕食後の水分摂取を控えめにすることで、夜間頻尿を軽減できることがあります。一般に夕食後や就寝前に水分を取ることが、脳梗塞の予防や腎機能低下の予防に繋がると思われがちですが、医学的根拠はなく、かえって飲み過ぎてしまうことで夜間頻尿や睡眠障害を引き起こし生活の質を大きく損なう結果を招いているのです。
効果的な運動習慣
テストステロン分泌を促進し、骨盤底筋を強化するための効果的な運動を紹介します。
大きな筋肉を使う筋力トレーニング(スクワット、デッドリフト、ベンチプレスなど)は、テストステロンの分泌を促進します。週に2〜3回、30分程度の筋トレを習慣にしましょう。
また、骨盤底筋を鍛えるケーゲル体操も効果的です。尿の流れを途中で止める動作をイメージしながら、骨盤底の筋肉を5秒間収縮させ、その後5秒間リラックスさせます。これを1日に10〜15回程度行います。
有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)も、全身の血流を改善し、ストレス解消にも効果的です。
ストレス管理と質の高い睡眠
過度のストレスはテストステロンの生成を阻害します。ストレスを管理するために、以下のような方法を取り入れましょう。
- 深呼吸やメディテーション
- 趣味や楽しい活動の時間を確保する
- 十分な休息をとる
- 社会的なつながりを大切にする
質の高い睡眠もテストステロン分泌には欠かせません。睡眠の質を高めるために、就寝前のスマホやパソコンの使用を控える、寝室の環境を整える、規則正しい睡眠スケジュールを維持するなどの工夫をしましょう。
まとめ:男性更年期障害と頻尿の関係を理解し適切に対処しよう
男性更年期障害と頻尿の関係について解説してきました。男性ホルモンの低下は、膀胱の柔軟性低下や血流の悪化、抗利尿ホルモンの減少などを通じて頻尿を引き起こします。
頻尿の原因は男性更年期障害だけでなく、前立腺肥大症や過活動膀胱など他の疾患の可能性もあるため、正確な診断が重要です。症状が気になる場合は、早めに泌尿器科やメンズヘルス外来を受診しましょう。
治療には、生活習慣の改善と医学的治療の両面からのアプローチがあります。適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレス管理などの生活習慣の改善が基本となります。症状が重い場合は、男性ホルモン補充療法などの医学的治療も検討されます。
男性更年期障害による頻尿は、適切な対処によって改善が期待できます。年齢のせいだと諦めず、専門医に相談し、自分に合った対策を見つけることが大切です。
健康的な生活習慣を心がけ、男性ホルモンの低下を予防することで、いつまでも活力ある生活を送りましょう。
詳しい診断や治療については、泌尿器科専門医による適切な診療をお勧めします。皆川クリニックでは、泌尿器科専門医による男性更年期障害や頻尿の診療を行っています。お悩みの方は、ぜひご相談ください。
皆川クリニックでは、最新の医療機器を用いた検査・治療を提供しています。
著者情報
皆川真吾
医学博士・泌尿器科学会専門医・指導医
泌尿器内視鏡学会腹腔鏡手術認定医
CVP(接触式前立腺レーザー蒸散術)プロクター
埼玉県出身。平成13年に秋田大学医学部医学科を卒業後、同大学医学部附属病院、虎ノ門病院、NTT東日本関東病院、聖路加国際病院などで研鑽を積み、令和2年に皆川クリニックを開設。泌尿器科専門医として、日々の診療に携わっています。
Best Doctors in Japan 2024-2025にも選出。ベストドクターズ公式サイト:https://bestdoctors.com/japan/
詳しい診療内容や診療時間については、皆川クリニック公式サイトをご覧ください。

