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膀胱炎は男性にも起こる?症状と再発を防ぐ生活習慣を泌尿器科専門医が解説
膀胱炎は女性だけの病気ではありません
「膀胱炎」と聞くと、多くの方が女性特有の病気だと思われるかもしれません。
確かに、女性は男性と比べて膀胱炎になりやすいのは事実です。しかし、男性にも膀胱炎は起こります。排尿時の痛みや頻尿といった症状に悩まされている男性の方も、実は少なくありません。泌尿器科専門医として長年診療に携わってきた経験から、男性の膀胱炎は見過ごされがちであり、適切な理解と対処が必要だと感じています。
膀胱炎の症状は日常生活に大きな支障をきたします。トイレに行く回数が増えて仕事に集中できない、排尿時の痛みで外出が億劫になる、夜間に何度もトイレに起きて睡眠不足になる・・・こうした悩みを抱えている方は、ぜひこの記事を最後までお読みください。

男性と女性で異なる膀胱炎の特徴
膀胱炎は、膀胱の粘膜に炎症が起こる病気です。
女性の場合、尿道が短く3〜4cmしかないため、外部から細菌が膀胱まで到達しやすい構造になっています。一方、男性の尿道は約17〜20cmと長く、さらに前立腺から分泌される液体に抗菌作用があるため、細菌が膀胱に達しにくくなっています。このため、男性の膀胱炎は女性と比べて発症頻度が低いのです。
しかし、男性が膀胱炎にならないわけではありません。
男性の膀胱炎の特徴
男性の膀胱炎には、女性とは異なる特徴があります。男性の場合、単純に細菌感染だけで膀胱炎になることは少なく、何らかの基礎疾患が隠れていることが多いのです。
- 前立腺肥大症による尿の停滞
- 尿路結石による尿路の閉塞
- 神経因性膀胱による排尿障害
- 糖尿病などによる免疫力の低下
これらの基礎疾患があると、膀胱内に尿が長時間たまりやすくなり、細菌が増殖しやすい環境が作られます。そのため、男性の膀胱炎は「複雑性膀胱炎」と呼ばれることが多く、原因となる病気の治療も必要になります。
膀胱炎の主な原因菌
膀胱炎を引き起こす細菌の約75%は大腸菌です。大腸菌は腸内に常在する細菌ですが、尿道から膀胱に侵入すると炎症を引き起こします。その他、セラチア、緑膿菌、腸球菌、エンテロバクターなどの細菌も膀胱炎の原因となることがあります。
膀胱炎の症状を見逃さないために
膀胱炎には特徴的な症状があります。
これらの症状に気づいたら、早めに泌尿器科を受診することが大切です。放置すると症状が悪化したり、腎臓にまで感染が広がる「腎盂腎炎」に進行したりする可能性があります。
膀胱炎の三大症状
排尿痛は、膀胱炎の最も典型的な症状です。排尿時に焼けるような痛みや刺すような痛みを感じ、特に排尿の終わり頃に痛みが強くなります。これは細菌感染により膀胱粘膜に炎症が起きているためです。
頻尿も重要な症状です。膀胱に炎症が起きると、少量の尿でも強い尿意を感じるようになります。日中はもちろん、夜間に何度もトイレに起きる必要に迫られることもあります。30分から1時間ごとにトイレに行きたくなることも珍しくありません。
尿の濁りも見逃せないサインです。健康なときの尿は透明に近い黄色ですが、膀胱炎になると白く濁ります。これは細菌と戦うために集まった白血球や、炎症部分の分泌液、はがれた膀胱の粘膜が尿に混入するためです。尿の臭いが強くなることもあります。
注意すべき危険なサイン
以下の症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
- 38℃以上の発熱
- 背中や腰の痛み
- 吐き気や嘔吐
- 悪寒や震え
- 排尿痛
- 血尿(真っ赤な尿や血の塊)
これらは膀胱だけでなく、腎臓にまで細菌感染が広がった「腎盂腎炎」や「急性前立腺炎」の可能性があります。腎盂腎炎は放置すると敗血症となり、命に関わることもある重篤な状態です。急性前立腺炎も、糖尿病など基礎疾患があると、前立腺膿瘍となり重篤な状態になる可能性があります。特に発熱がある場合には、膀胱炎だけではないと考えて、早急に受診することが必要です。

膀胱炎を繰り返さないための生活習慣
膀胱炎は一度治療しても繰り返しやすい病気です。
再発を防ぐためには、日常生活での予防が非常に重要になります。細菌感染を防ぎ、膀胱内で細菌が増殖しにくい環境を作ることが基本的な考え方です。
水分摂取の重要性
膀胱炎予防の最も基本的で効果的な方法は、十分な水分摂取です。
水分を多く摂取すれば尿量が増え、排尿回数も増えます。これにより、たとえ膀胱内に細菌が入っても、尿と一緒に洗い流すことができます。1日に1.5〜2Lの尿が出るくらいを目安に、水やお茶を少しずつ飲むのがおすすめです。アメリカの研究では、1年に3回以上尿路感染症を発症した成人が1日1.5L以上の水分摂取を続けたところ、尿路感染症になる割合が半分になったと報告されています。
ただし、濃いカフェインやアルコールなど刺激になるものは避けましょう。また、腎臓や心臓に持病がある方は、水分制限が必要な場合もありますので、主治医にご相談ください。
排尿習慣の見直し
尿意を我慢することは膀胱炎のリスクを高めます。
尿が長く膀胱内にたまっていると細菌が増殖しやすくなるため、細菌が増殖しないうちに尿を出すことが大切です。寝ているとき以外は3〜4時間ごとにトイレに行くようにするのが理想です。忙しいからといって我慢せず、尿意を感じたら早めに排尿する習慣をつけましょう。
清潔習慣の確立
デリケートゾーンを清潔に保つことも重要です。
排便後は、トイレットペーパーを前から後ろに向かって拭くクセをつけましょう。後ろから前(肛門から尿道)へ拭くと、肛門付近の細菌が尿道に入りやすくなってしまいます。また、温水洗浄便座の使用は、綺麗になっているつもりでも細菌を広げてしまう原因にもなりますので、使用を控えることをおすすめします。
下着は清潔なものを着用し、できれば通気性のよいコットン製の下着を選びましょう。通気性の悪い下着は蒸れて細菌が繁殖しやすくなります。
性行為後の注意点
性行為は膀胱炎の原因になることがあります。性行為によって細菌が尿道に押し込まれることがあるためです。性行為の前後はシャワーを浴びるなどして陰部を清潔にし、性行為の後はすぐに排尿する習慣をつけましょう。万が一細菌が入っても、排尿することで細菌が尿と一緒に流れ出します。
体調管理とストレス対策
体の抵抗力が落ちると膀胱炎にかかりやすくなります。
ストレスや睡眠不足などで免疫力が低下すると、細菌の繁殖を許してしまうのです。普段から睡眠不足や疲労の蓄積、栄養バランスの乱れには注意しましょう。季節の変わり目や冷暖房による温度差で自律神経が乱れても抵抗力が下がってしまいます。
特に下半身の冷えには注意が必要です。体が冷えていると血流が悪くなり、膀胱に届く栄養や酸素、免疫細胞が減ってしまいます。冷え性の人は靴下や腹巻を使って体を保温し、ニンニクやショウガなどを食事に取り入れましょう。
便秘対策も忘れずに
便秘になると便の中の大腸菌が増えて膀胱炎の危険性が増します。水分をとることは便秘予防にもつながるので、膀胱炎の予防におすすめです。慢性的な便秘は膀胱炎だけでなく排尿障害の原因にもなりますので、適切な運動習慣の導入や食物繊維の多い食事などに気を配りましょう。

膀胱炎の治療と皆川クリニックでの診療
膀胱炎の症状に気づいたら、早めに泌尿器科を受診することが大切です。
診断には尿検査が基本となります。尿の濁りがあるか、尿の培養検査でどのような菌が見つかるかなどを検査し、抗生物質で治療を行います。また必要に応じて膀胱や腎臓の超音波検査をすることもあります。
適切な抗生物質治療
膀胱炎の治療の基本は抗生物質の内服です。通常、3〜7日ほど服用すれば治癒します。ただし、症状がよくなっても途中で内服をやめずに飲み切るようにしましょう。中途半端に服用を中止すると、耐性菌が生まれる可能性があります。
抗生物質の予防内服は一部で効果がありますが、耐性菌や副作用の問題があるため、医師の指導なしで続けるのは危険です。症状が出たときは早めに受診しましょう。
男性の膀胱炎は基礎疾患の検査も必要
男性の場合、膀胱炎の背後に前立腺肥大症や尿路結石などの基礎疾患が隠れていることが多いため、原因となる病気の治療も必要になります。
皆川クリニックでは、頻尿や尿漏れといった排尿のお悩みに対応しており、薬の処方以外にも、尿路結石症や前立腺肥大症などにおいて手術が必要な場合は連携する総合病院での手術治療を行い、術後は当院でのフォローアップも可能です。
従来のイメージを変える泌尿器科診療
泌尿器科は「相談するのが恥ずかしい」「受診しにくい」といったイメージをお持ちの方が多いと思います。
しかし、排尿の症状は薬の内服で緩和することができますし、生活習慣や日頃のストレスからも影響を受けますので、さまざまな視点から治療に取り組むことが必要です。我慢すること無く是非一度ご相談ください。皆川クリニックでは、もっと気軽に相談できて安心していただけるクリニックを目指しております。
まとめ:膀胱炎は予防できる病気です
膀胱炎は男性にも起こる病気です。
女性と比べて発症頻度は低いものの、男性の場合は基礎疾患が隠れていることが多いため、症状に気づいたら早めに泌尿器科を受診することが大切です。排尿時の痛み、頻尿、尿の濁りといった症状があれば、我慢せずに相談しましょう。
膀胱炎の再発を防ぐためには、日常生活での予防が非常に重要です。十分な水分摂取、尿意を我慢しない習慣、清潔習慣の確立、体調管理とストレス対策、便秘対策など、できることから始めてみてください。これらを意識するだけで、膀胱炎の再発リスクを下げることができます。
皆川クリニックでは、人の心に寄り添うことができるクリニックになるよう、スタッフ一同努めております。排尿のお悩みがある方は、お気軽にご相談ください。
詳しい診療内容やアクセス情報については、皆川クリニックの公式サイトをご覧ください。
著者情報
皆川真吾
医学博士・泌尿器科学会専門医・指導医
泌尿器内視鏡学会腹腔鏡手術認定医
CVP(接触式前立腺レーザー蒸散術)プロクター
埼玉県出身。平成13年に秋田大学医学部医学科を卒業後、同大学医学部附属病院、虎ノ門病院、NTT東日本関東病院、聖路加国際病院などで研鑽を積み、令和2年に皆川クリニックを開設。泌尿器科専門医として、日々の診療に携わっています。
Best Doctors in Japan 2024-2025にも選出。ベストドクターズ公式サイト:https://bestdoctors.com/japan/
詳しい診療内容や診療時間については、皆川クリニック公式サイトをご覧ください。

