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テストステロン増加と尿の関係性|男性ホルモンの真実
テストステロンと排尿の意外な関係性
男性ホルモンの代表格であるテストステロンは、筋肉や骨を作り上げるだけでなく、実は排尿機能にも深く関わっています。40代以降の男性に多い「尿の勢いが弱くなった」「夜間に何度もトイレに行く」といった悩みの背景には、このホルモンの減少が隠れているかもしれません。

テストステロンは男性らしさを支える重要なホルモンですが、年齢とともに徐々に減少していきます。その影響は見た目だけでなく、体のさまざまな機能に及ぶのです。
膀胱の筋肉を元気に保ち、尿道周りの筋肉の柔軟性を維持する働きがあるテストステロン。このホルモンが減ると、排尿に関わる筋肉や神経の働きにも変化が生じてきます。実はこれが、多くの中高年男性が抱える排尿トラブルの一因となっているのです。
「年だから仕方ない」と諦めていた排尿の悩みも、実はホルモンバランスの改善で解決できる可能性があるのです。
テストステロン減少が尿トラブルを引き起こすメカニズム
テストステロンが減少すると、具体的にどのように排尿に影響するのでしょうか。そのメカニズムは主に3つあります。
まず第一に、膀胱の筋肉が弱くなります。テストステロンには膀胱の筋肉を元気に保つ作用があり、このホルモンが減ると「尿を押し出す力」が弱まり、尿の勢いが弱くなってしまいます。
第二に、尿道まわりの筋肉(骨盤底筋)がゆるくなります。テストステロンが減ると、この筋力の衰えが早まり、排尿時の押し出し力が弱まることがあります。
そして第三に、神経の働きが乱れやすくなります。排尿は自律神経という神経の働きでコントロールされていますが、テストステロンはこの神経バランスにも関わっています。ホルモンバランスが崩れると、「尿が出にくい・残る」という症状の原因になるのです。
加齢に伴うテストステロンの減少は、夜間尿量を制御する重要なホルモンである抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌を減少させ、夜間頻尿のリスクを高めることが指摘されています。臨床の現場では、テストステロンを補充すると、夜中につくられる尿を減らすバソプレシンの分泌が増えることがわかっています。また、バソプレシンを投与して夜中にトイレに行く回数が減ると、テストステロンの量が増えることも報告されています。
つまり、テストステロンの低い人ほど、夜中に何度もトイレに行く傾向になると言えます。
男性ホルモン低下と前立腺の関係
男性の排尿トラブルといえば、まず思い浮かぶのが前立腺肥大症です。では、テストステロンの低下と前立腺肥大症には、どのような関係があるのでしょうか。
実は、テストステロンが前立腺肥大症の直接の原因というわけではありません。前立腺肥大症は、テストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)という別の男性ホルモンに変換され、それが前立腺組織に影響を与えることで起こります。
しかし、最近の研究では「テストステロンが少ない人ほど、前立腺の働きも乱れやすくなる」ことが分かってきました。つまり、前立腺だけでなく、全身のホルモンバランスや筋肉の状態も排尿トラブルに関係しているのです。
70代の男性では約8割に前立腺肥大が見られると言われていますが、実際に排尿症状を伴い治療が必要になるのはその1/4程度です。年齢を重ねるにつれて前立腺肥大のリスクは高まりますが、テストステロンのバランスを整えることで症状の改善が期待できる場合もあるのです。
テストステロン低下と尿トラブルの悪循環
テストステロンの低下と排尿トラブルは、お互いに影響し合う関係にあります。テストステロンが減ると排尿トラブルが起こりやすくなり、排尿トラブルによる睡眠の質の低下がさらにテストステロンの分泌を妨げるという悪循環が生じることがあります。

特に夜間頻尿は睡眠の質を著しく低下させます。テストステロンは主に睡眠中に分泌されるため、睡眠が妨げられるとテストステロン分泌も減少してしまうのです。
この悪循環を断ち切るためには、テストステロンレベルの改善と排尿トラブルの両方にアプローチする必要があります。
テストステロン値を高める生活習慣
テストステロン値を高めるためには、薬物療法だけでなく、日常生活の中でできることがたくさんあります。特に効果的な方法をいくつかご紹介します。
適切な運動は、テストステロン値を上げる最も効果的な方法の一つです。特に「筋力トレーニング」と「高強度インターバルトレーニング(HIIT)」が効果的とされています。ただし、過度な運動はかえってテストステロン値を下げることがあるので注意が必要です。
十分な睡眠も非常に重要です。テストステロンは主に睡眠中に分泌されるため、質の良い睡眠を確保することが大切です。7〜8時間の睡眠を心がけましょう。
ストレスの管理も重要です。ストレスが続くとコルチゾールというホルモンが増加し、テストステロンの分泌が抑制されます。瞑想やヨガ、深呼吸などのリラクゼーション法を取り入れることで、ストレスを軽減できます。
食事面では、亜鉛やビタミンDを多く含む食品を摂ることが推奨されています。亜鉛は牡蠣や赤身の肉、ナッツ類に、ビタミンDは魚や卵、きのこ類に多く含まれています。
また、適正体重を維持することも大切です。肥満はテストステロン値を下げる要因となります。特に内臓脂肪が増えると、テストステロンが女性ホルモンに変換されやすくなると言われているため、適切な体重管理が必要です。
テストステロン補充療法の可能性
生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られない場合、医療機関でテストステロン補充療法を検討することもできます。
テストステロン補充療法には、注射薬と塗り薬があります。注射薬は2〜4週間に一度の筋肉注射で、効果が強く即効性があるのが特徴です。一方、塗り薬は毎日顎や陰嚢に塗布するもので、効果は緩やかですが持続性があります。
ただし、テストステロン補充療法は全ての人に向いているわけではありません。睡眠時無呼吸症候群や前立腺がんのリスクがある方、多血症、肝機能障害などの副作用が懸念される方には慎重に検討する必要があります。
テストステロン値が明らかに低く、症状も強い場合には、専門医に相談してみることをお勧めします。
排尿トラブル改善のための具体的アプローチ
テストステロン値の改善と並行して、排尿トラブルそのものを改善するためのアプローチも重要です。以下に具体的な方法をご紹介します。
骨盤底筋トレーニングは、排尿をコントロールする筋肉を鍛えるのに効果的です。尿道を締める感覚で筋肉を10秒間収縮させ、その後5秒間リラックスするという動作を1セット10〜15回程度、1日5回程度行います。これを継続することで、尿漏れや頻尿の改善が期待できます。
水分摂取の管理も大切です。水分を十分に摂ることは健康維持に重要ですが、就寝前2〜3時間は水分摂取を控えることで、夜間頻尿を軽減できる場合があります。
膀胱訓練も効果的な方法です。尿意を感じてもすぐにトイレに行かず、少しずつ我慢する時間を延ばしていくトレーニングです。通常、初期の尿意を感じても我慢していれば尿意が薄れしばらくは感じなくなります。2回目、3回目あたりの尿意で我慢するのが難しくなったときにトイレへ行くようにします。これにより膀胱の容量を増やし、頻尿を改善することができます。
カフェインやアルコールは利尿作用があるため、特に夕方以降は控えめにすることが望ましいでしょう。また、スパイシーな食べ物も膀胱を刺激することがあるため、症状が気になる方は摂取を控えることをお勧めします。トウガラシに含まれるカプサイシンが刺激を生じて頻尿の原因となる可能性があります。
これらの生活習慣の改善に加えて、必要に応じて医療機関での治療も検討しましょう。前立腺肥大症に対しては、α遮断薬や5α還元酵素阻害薬、ホスホジエステラーゼ5阻害剤などの薬物療法が効果的です。また、当院では最新の磁気治療技術である「HITS™高密度テスラ磁気刺激システム」のスターフォーマーProを導入しており、骨盤底筋を効果的に鍛えることができます。(スターフォーマーの記事へリンク)
テストステロンと尿の関係性から見る男性の健康管理
テストステロンと排尿の関係性を理解することは、男性の健康管理において非常に重要です。テストステロン値の低下は単に排尿トラブルだけでなく、全身の健康にも影響を及ぼします。
テストステロンが低下すると、筋肉量と筋力も落ちることで基礎代謝の低下が起こります。これにより、肥満、糖尿病や循環器病の発症、動脈硬化のリスク増加につながることが医学研究で示されています。
特に糖尿病との関連は強く、テストステロンの低下によって糖の代謝が悪化し、糖尿病になりやすい体内環境に変化してしまうことがわかっています。Ⅱ型糖尿病の患者さんにテストステロンの補充療法を行うことで、インスリン感受性が改善し、内臓脂肪と血中脂質の低下が見られた研究もあります。
また、テストステロンは骨密度の維持にも重要な役割を果たしています。テストステロンの低下は骨粗鬆症のリスクを高め、フレイルと呼ばれる心身の脆弱化の原因となり、転倒や骨折などにつながる可能性があります。
さらに、テストステロンは認知機能や記憶にも影響を与えます。テストステロンの低下は認知機能や記憶障害の原因となり、認知症発症のリスクを高める可能性があります。
このように、テストステロンは男性の健康全般に関わる非常に重要なホルモンです。排尿トラブルはその低下の一つのサインと捉え、早めに対処することが大切です。
早期発見・早期対応の重要性
排尿トラブルは、テストステロン低下の初期症状として現れることがあります。「尿の勢いが弱くなった」「夜間に何度もトイレに行く」といった症状を感じたら、単に年齢のせいにせず、専門医に相談することをお勧めします。
当院では、排尿トラブルに対して総合的なアプローチを行っています。テストステロン値の測定、前立腺の状態チェック、生活習慣の見直し、必要に応じた薬物療法や最新の治療法の提案など、患者さん一人ひとりに合わせた治療プランを提供しています。当院では体内での自然なテストステロン増生を促すサプリメントもご案内しております。https://store.kasseiken.net/shopping/lp.php?p=ah01&adcd=drhnmin01jo
テストステロン値を正常に保つことは、男性がいつまでも元気で活力のある生活を送るためにとても重要です。排尿トラブルを通じてテストステロン低下に早めに気づき、適切な対応をすることで、より健康的な生活を取り戻すことができるでしょう。
まとめ:テストステロンと排尿の関係性を理解して健康な毎日を
テストステロンと排尿の関係性について、いかがでしたか?男性ホルモンであるテストステロンは、筋肉や骨を作るだけでなく、膀胱の筋肉や尿道周りの筋肉の機能維持にも重要な役割を果たしています。
テストステロンの低下は、尿の勢いが弱くなる、夜間頻尿、残尿感といった排尿トラブルの原因となることがあります。また、排尿トラブルによる睡眠の質の低下が、さらにテストステロンの分泌を妨げるという悪循環も起こりえます。
テストステロン値を高めるためには、適切な運動、十分な睡眠、ストレス管理、バランスの取れた食事、適正体重の維持などの生活習慣の改善が効果的です。また、排尿トラブルそのものに対しては、骨盤底筋トレーニング、水分摂取の管理、膀胱訓練などのアプローチが有効です。
テストステロンの低下は排尿トラブルだけでなく、筋力低下、基礎代謝の低下、糖尿病リスクの増加、骨密度の低下、認知機能の低下など、全身の健康に影響を及ぼします。排尿トラブルをテストステロン低下のサインと捉え、早めに専門医に相談することが大切です。
当院では、テストステロン値の測定から最新の治療法まで、患者さん一人ひとりに合わせた総合的なアプローチを提供しています。排尿トラブルでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
テストステロン値を正常に保ち、排尿トラブルを改善することで、より健康で活力ある毎日を取り戻しましょう。
【著者情報】
皆川真吾
(医学博士、泌尿器科学会専門医・指導医、、CVP(接触式前立腺レーザー蒸散術)プロクター)
埼玉県出身。平成13年秋田大学医学部医学科卒業、平成17年秋田大学医学部医学研究科大学院卒業(医学博士号取得)。虎ノ門病院、NTT東日本関東病院、聖路加国際病院、東京腎泌尿器センター大和病院、行徳総合病院などを経て、令和2年に皆川クリニックを開設。日本泌尿器科学会、日本泌尿器内視鏡学会、日本抗加齢医学会、泌尿器抗加齢医学研究会、GSM研究会、日本女性骨盤底医学会、日本メンズヘルス医学会、美容皮膚科学会、CVP研究会に所属。
Best Doctors in Japan 2024-2025にも選出。ベストドクターズ公式サイト:https://bestdoctors.com/japan/

