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開院5周年を迎えて

 

開院5周年を迎えて

2020年9月にクリニックを開院してから、早くも5年が経過しました。こうして無事に診療を続けてこられたのは、ひとえに当院を信頼して受診してくださる多くの患者様のおかげです。心より感謝申し上げます。

9月1日に新クリニックへ移転し、より快適に過ごしていただけるような空間と医療をご提供できるよう努めてまいります。隣地とはいえ移転作業は非常に大変でネットワークやセキュリティ、それぞれの機器の連携などスムーズに行かずヒヤヒヤしましたが、なんとか9月1日の診療も大きなトラブルなく終え、新たなスタートを切りました。

この5年間で、16,000人以上の新規患者様にご来院いただきました。これからも、一人ひとりの患者様に真摯に向き合い、丁寧な診療を心がけていく所存です。

私は泌尿器科医として20年、さまざまな総合病院で診療を続けてまいりました。泌尿器科は、しばしば内科的な印象を持たれることもありますが、実際には外科的処置が多く含まれる診療科です。腎癌・膀胱癌・前立腺癌・精巣腫瘍といった悪性腫瘍の手術をはじめ、尿路結石や前立腺肥大症、尿失禁に対する手術など、多くの外科的治療に携わってきました。

しかし、私が医師として何ができるのかを、研修医の頃からずっと考え続けてきました。現代の医療においても、完全に治癒できない疾患は多く存在します。そうした中で、医学的処置だけではなく、患者さんの精神的な面に寄り添うことも医師としての大切な役割だと、開業してますます実感するようになりました。その背景の一つにAIの台頭があります。

近年、人工知能(AI)の急速な進化により、多くの職業において大きな変革の時代を迎えています。医療現場も例外ではありません。画像診断においては、すでに一部の領域でAIが放射線科医の読影精度を上回るとされており、内科領域ではAIが問診データや検査結果から高精度な診断を下すシステムが次々と登場しています。今後は、外科領域においてもロボットによる自動手術が普及し、手技の正確性や安全性の面で人間以上の成果をあげる日が来るかもしれません。

さらに、あらゆる診療科において、専門医以上の知識と解析力を備えたAIが登場することで、「医師は人間である必要があるのか?」という根源的な問いが突きつけられようとしています。

外来診療においても、症状・検査データ・病歴などの情報をAIが統合的に判断し、適切な診断・処方を瞬時に提示する時代はすぐそこに来ています。多くのケースでは、それで十分な治療効果が得られることでしょう。近い将来、AIによる診療と人間医師による診療を選ぶようなことになるかもしれません。

こうした進化のなかで、人間である私たち医師が担うべき最後の砦とは何か。私は、「人と人との対話」や「心の通い合い」にこそ、人間の医師としての価値ではないかと考えていますし、医療の本質だと思います。感謝や共感の気持ちを交わしながら、患者さんの思いや価値観を尊重し、一人ひとりに合った医療を提供すること。そこにこそ、医師の存在意義が残されていると信じています。

「病は気から」という古典的なことわざは、いつも医療の根本にあると私は考えております。人間は気持ちによって様々な体調の不調を感じるものです。逆に安心感は体調の改善、元気の源になると思います。どんなに些細な不調でも、生活の質(QOL)に大きく影響します。私も幼少時は小児喘息に悩み十分に運動もできず寂しい気持ちを抱えていました。今となっては当時実家で飼っていた猫や犬のアレルギーだったことが分かり、あの頃対処できていたらもっと違ったのではないか、などと思う事もあるのですが、そのような経験が現在、医師として役立っているとも感じております。

現代社会では、医療に対する要求がますます高まり、100%の診断治療、0%のリスクという、非常に高いハードルが求められるようになってきました。しかし、どんなに経験を重ねても、人間である限り、全ての患者さんに完全な満足を提供することはできません。

人間の医療には、100%の正解もなければ、100%の満足を提供することも困難です。人間は非常に複雑で多様であり100%や絶対はあり得ません。全力を尽くしても、すべての患者様にご満足いただけるとは限らず、至らぬ点やご期待に沿えないこともあるかと思います。そのような時は大変申し訳なく感じます。

どれだけ効果が高いとされる薬でも、すべての患者さんに効くとは限らず、1%の例外にとっては「効かない=意味がない」ことになってしまいます。その1%の方々に、どう寄り添い、どう支えていくか。そこにこそ医師としての本当の力量が問われているのだと思います。

SNSの発達により簡単に誹謗中傷を匿名で発することができる恐ろしい時代です。このような時代だからこそ、医師と患者さんの間においても、互いに理解し合い、歩み寄る努力が必要な時代になってきているのではないでしょうか。

私自身も多忙な診療の中で、時に流れ作業のように対応してしまうこともあり、反省することも多々あります。患者さんに丁寧に向き合いたいという気持ちがあるからこそ、控えめな対応となることもありますが、それが逆に物足りなさとして受け取られる場合もあるかもしれません。それでも、私は私なりのやり方で、人間らしさを大切にしながら診療を続けていきたいと思っています。

これからの医療は、AIやテクノロジーの進化とともに大きく変わっていくでしょう。その中で、医師として、人として、「笑顔のある人生をサポートしていく」ことが、私に与えられた使命だと信じています。

まだまだ至らぬ点もあるかと思いますが、これからも地域の皆さまに信頼され、安心してご来院いただけるようなクリニックをスタッフ一同目指してまいります。どうぞ今後とも、よろしくお願い申し上げます。

 

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