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インティマレーザーで産後の尿漏れを改善〜効果と回復プロセス
産後の尿漏れに悩む女性たちへ〜インティマレーザーという選択肢
出産は女性にとって人生の大きな喜びですが、同時に体にさまざまな変化をもたらします。その中でも特に悩ましいのが「産後の尿漏れ」です。
くしゃみや咳、笑ったときに思わず尿が漏れてしまう経験をされた方は少なくないでしょう。これは「腹圧性尿失禁」と呼ばれる症状で、出産によって骨盤底筋が緩んだことが主な原因です。
私が泌尿器科医として診療を行う中で、多くの女性がこの症状に悩みながらも「産後だから仕方ない」と諦めていることに気づきました。出産後、10年20年と漏れが続いていたが、なかなか受診できなかったという方も少なくありません。しかし、現在では効果的な治療法が存在します。
今回は、産後の尿漏れ改善に効果的な「インティマレーザー」について、その効果や回復プロセスを詳しくご説明します。
産後の尿漏れはなぜ起こる?〜メカニズムを理解する
産後の尿漏れ、特に腹圧性尿失禁が起こるメカニズムについて理解することは、治療法を選ぶ上で重要です。
妊娠中、赤ちゃんの成長とともに子宮が大きくなり、骨盤底の筋肉や靭帯に大きな負担がかかります。さらに出産時には、赤ちゃんが産道を通過する際に骨盤底筋に強い圧力がかかり、筋肉や組織が伸びたり、時には損傷したりします。
出産後、これらの組織は徐々に回復していきますが、完全に妊娠前の状態に戻ることは難しく、骨盤底筋の弱さが残ることがあります。この弱さが、くしゃみや咳などで腹圧が上がった際に尿漏れを引き起こす原因となるのです。
腹圧性尿失禁は、膀胱と尿道の角度が変化することでも発生します。通常、膀胱と尿道はほぼ直角に位置していますが、骨盤底筋が弱くなると、この角度が鈍角になり、腹圧がかかった際に尿が漏れやすくなります。
また、出産回数が多い方、難産だった方、大きな赤ちゃんを出産した方は、より症状が出やすい傾向があります。
産後の尿漏れの種類と症状
産後の尿漏れには主に以下のような種類があります。
- 腹圧性尿失禁:くしゃみ、咳、笑う、重い物を持つなど腹圧がかかった際に尿が漏れる
- 切迫性尿失禁:急に強い尿意を感じ、トイレに間に合わず漏れてしまう
- 混合性尿失禁:上記2つの症状が混在している状態
産後の女性に最も多いのは腹圧性尿失禁です。軽度の場合は少量の尿漏れで済みますが、重度になると日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
尿漏れは身体的な問題だけでなく、精神的な負担にもなります。「外出先でトイレを探す不安」「尿漏れの臭いが気になる」「パートナーとの関係に影響する」など、QOL(生活の質)の低下につながることも少なくありません。
インティマレーザーとは?〜最新の尿漏れ治療法
インティマレーザーは、産後の尿漏れ改善に効果的な最新のレーザー治療法です。特に腹圧性尿失禁に対して高い効果を発揮します。
このレーザー治療は、Fotona社が開発したエルビウムYAGレーザーを使用しています。世界中で尿もれ治療の臨床効果が高く評価されており、安全性が高く効果的な治療の選択枝として認知されています。
インティマレーザーの最大の特徴は、切開などの外科的処置を行わない「非侵襲的」な治療法であることです。従来のCO2レーザー治療(モナリザタッチなど)は粘膜表面にダメージを与えて細胞再生を促すため、痛みとダウンタイム(回復期間)が長い傾向がありました。
しかし、インティマレーザーは独自技術により粘膜表面を傷つけずに粘膜下層へ熱エネルギーを与えることができるため、痛みが少なくダウンタイムも短いのが特徴です。
インティマレーザーの作用メカニズム
インティマレーザーは、膣内と外陰部、尿道にレーザーを照射することで、以下のような効果をもたらします。
- コラーゲンの生成促進
- 粘膜の厚みと血流の改善
- 膣壁の引き締め
- 尿道周囲組織の強化
レーザーによる熱刺激が粘膜内のコラーゲン生成を促進し、膣壁や尿道周囲の組織を厚く強化します。これにより尿道の過可動(ぐらつき)が軽減し、安定することと、尿道粘膜の厚みを取り戻すことで、腹圧がかかっても尿が漏れにくくなるのです。
また、組織の再生により膣全体が引き締まるため、尿漏れの改善だけでなく、膣のゆるみや性交痛の改善、アンチエイジング効果なども期待できます。
インティマレーザーの効果〜臨床データから見る有効性
インティマレーザーは、産後の尿漏れ、特に腹圧性尿失禁に対して高い効果を示しています。実際の臨床データを見ていきましょう。
インティマレーザーの治療効果については、日本国内で12000例以上の実績があります。特に腹圧性尿失禁に対しては、多くの女性が治療後に症状の改善を実感しています。
フォトナ社から報告されたデータによると、インティマレーザー治療を受けた764例の患者のうち、多くの方が尿漏れの頻度や量の減少を実感しています。
特に軽度から中等度の腹圧性尿失禁の場合、1〜3回の治療で約70〜80%の方に改善が見られるというデータがあります。重度の場合でも、複数回の治療を組み合わせることで効果が期待できます。
インティマレーザーで期待できる効果
インティマレーザー治療によって期待できる効果は以下の通りです。
- 尿漏れの改善:くしゃみや咳をしても尿が漏れにくくなる
- 膣の引き締め効果:膣のゆるみ、お湯もれ、空気もれの改善
- 性交痛の改善:膣粘膜の潤いが増し、痛みが軽減
- 骨盤臓器下垂の防止効果:膀胱、子宮、腸の下垂を予防
- GSM(閉経後尿路性器症候群)の改善:閉経後のエストロゲン低下に伴う症状の緩和
これらの効果は個人差があり、症状の程度や体質によって異なります。また、効果を最大限に引き出すためには、適切な回数の治療と、場合によっては骨盤底筋トレーニングなどの併用が重要です。
インティマレーザー治療の流れ〜実際の施術プロセス
インティマレーザー治療は、どのような流れで行われるのでしょうか。実際の施術プロセスを詳しく解説します。
まず、治療を受ける前にカウンセリングを行い、症状の程度や治療の適応があるかを確認します。その後、以下のような流れで施術が進みます。
尿漏れ治療の場合の施術ステップ
- 麻酔の塗布:痛みや熱さを感じやすい外陰部に麻酔クリームを塗り、尿道には潤滑のためワセリンを塗布してします。
- 膀胱部分へのレーザー照射:膣内へガラス管(スペキュラム)を挿入した後、膀胱部分(膣前壁)へレーザーを照射します。
- 膣全周へのレーザー照射:膣全周にレーザーを照射し、組織の引き締めを促します。
- 外陰部へのレーザー照射:外陰部(尿道口付近)にもレーザーを照射します。
- 尿道内へのレーザー照射:尿道に専用の機器を挿入し、尿道内にもレーザーを照射します。
尿道や膣、その周りの組織が強化されることで、尿漏れが軽減されます。施術時間は15~20分程度で、日帰りで受けることができます。
痛みについては個人差がありますが、麻酔クリームを使用するため、多くの方はほとんど何も感じないか、「温かい感じがする」「軽い痛みを感じる程度」と表現されます。
施術後はすぐに日常生活に戻ることができますが、3日間程度はタンポンの挿入や性交渉を控えることが推奨されています。
インティマレーザーの副作用と注意点
インティマレーザーは比較的安全な治療法ですが、いくつかの副作用や注意点があります。治療を検討される際には、これらの点もしっかり理解しておくことが大切です。
フォトナ社から報告された、インティマレーザー治療6施設、764例のデータによると、以下のような副作用が報告されています。
- 浮腫:100%(施術直後は一時的に浮腫が生じます)
- 術中の痛み:14.3%
- おりものの増加:5.4%
- 術後の痛み:4.3%
- 出血:3.75%
- 一過性切迫性尿失禁:3.2%
これらの副作用のほとんどは一時的なもので、数日で自然に改善します。しかし、気になる症状がある場合は、必ず担当医に相談してください。

インティマレーザー治療の注意点
インティマレーザー治療を受ける際の主な注意点は以下の通りです。
- 術後3日間の制限:タンポンの挿入や性交渉は控えましょう。
- 効果の持続期間:効果は永続的ではなく、定期的な治療が最も効果的です。一般的に6ヶ月〜1年ごとのメンテナンス治療が推奨されています。
- 個人差がある:効果には個人差があり、症状の程度や体質によって異なります。
- 生理中は施術不可:生理中は施術ができないため、予約時に注意が必要です。
- 併用療法の検討:より効果を高めるために、骨盤底筋トレーニングや磁気治療(スターフォーマーなど)との併用も検討しましょう。
また、以下のような方は治療ができない場合があります。
- 妊娠中の方
- 重度の膣感染症がある方
- 出血性疾患がある方
- 光感受性疾患がある方
- 悪性腫瘍がある方
治療を検討される際には、必ず事前のカウンセリングで詳しい説明を受け、自分の症状や体質に合った治療法かどうかを確認してください。
インティマレーザーと他の尿漏れ治療法の比較
産後の尿漏れには、インティマレーザー以外にもさまざまな治療法があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。
骨盤底筋トレーニング(キーゲル体操)
骨盤底筋トレーニングは、尿漏れ治療の基本とされる方法です。骨盤底筋を意識的に収縮させる運動を繰り返し行うことで、筋力を強化します。
- メリット:費用がかからない、副作用がない、自宅でできる
- デメリット:効果が出るまで時間がかかる(3〜6ヶ月)、正しい方法で行わないと効果が薄い、重度の場合は効果が限定的
骨盤底筋トレーニングは、軽度から中等度の尿漏れに効果的ですが、継続することが重要です。インティマレーザーと併用することで、より高い効果が期待できます。
スターフォーマーPro(磁気治療)
スターフォーマーProは、HITS™高密度テスラ磁気刺激システムを使用した治療法です。他社製品と違い、椅子型の治療器で骨盤底と腰部の2カ所に磁気コイルがあります。強力な磁気の力で筋肉や神経を刺激し、座っているだけで30分で5万回の筋肉運動を可能にします。失禁治療のみならず、筋肉トレーニングや体幹トレーニングも可能です。足腰の弱った方もリハビリ効果が期待出来ますので、フレイルの予防にもなります。前立腺の手術後や、産後リハビリテーションにもお勧めです。
- メリット:痛みがない、服を着たまま治療可能、効果が実感しやすい
- デメリット:複数回(週2回程度の通院)の治療が必要、効果の持続期間が個人差がある
スターフォーマーProは、インティマレーザーと相補的な治療法であり、併用することでより高い効果が期待できます。
ボトックス膀胱壁内注入療法
ボトックス膀胱壁内注入療法は、主に過活動膀胱や切迫性尿失禁に効果的な治療法です。膀胱の筋肉にボトックスを注入することで、過剰な収縮を抑制します。
- メリット:効果が高い、保険適用がある場合がある、効果が6〜9ヶ月持続
- デメリット:やや侵襲的、一時的に排尿困難になる可能性がある、定期的な再治療が必要
ボトックス治療は主に過活動膀胱に対して行われ、腹圧性尿失禁に対してはインティマレーザーやスターフォーマーの方が適している場合が多いです。
手術療法(TVT手術など)
重度の腹圧性尿失禁の場合、TVT(Tension-free Vaginal Tape)手術などの外科的治療が選択肢となります。必要性のある方は手術できる施設へご紹介いたします。
- メリット:効果が高い、長期的な改善が期待できる
- デメリット:侵襲的、合併症のリスクがある、回復に時間がかかる
手術療法は重度の症状に対して効果的ですが、まずは非侵襲的な治療法を試してみることをお勧めします。
まとめ:インティマレーザーで産後の尿漏れを改善しよう
産後の尿漏れは、多くの女性が経験する悩みですが、「仕方ない」と諦める必要はありません。インティマレーザーは、非侵襲的で効果的な治療法として、多くの女性の悩みを解決しています。
インティマレーザーの主な特徴をまとめると以下の通りです。
- 切開しない非侵襲的な治療法で、痛みや出血が少ない
- 副作用のリスクが少なく、妊娠を考えている方でも安心
- 日帰りで受けられ、すぐに日常生活に戻れる
- 尿漏れの改善だけでなく、膣の引き締めや性交痛の改善など複数の効果が期待できる
ただし、効果には個人差があり、症状の程度や体質によって異なります。また、効果を最大限に引き出すためには、骨盤底筋トレーニングなどの併用や、定期的なメンテナンス治療が重要です。
産後の尿漏れでお悩みの方は、まずは専門医に相談してみることをお勧めします。皆川クリニックでは、Fotona社のレーザーを導入し、インティマレーザー治療を提供しています。また、スターフォーマーProなどの最新治療も取り入れ、患者様一人ひとりに合わせた治療プランをご提案しています。
産後の尿漏れを改善し、より快適な生活を取り戻しましょう。詳しい情報や治療についてのご相談は、ぜひ皆川クリニックまでお問い合わせください。
著者情報
皆川真吾
(医学博士、泌尿器科学会専門医・指導医、CVP(接触式前立腺レーザー蒸散術)プロクター)
埼玉県出身。平成13年秋田大学医学部医学科卒業、平成17年秋田大学医学部医学研究科大学院卒業、医学博士号取得。虎ノ門病院、NTT東日本関東病院、聖路加国際病院、東京腎泌尿器センター大和病院、行徳総合病院での勤務を経て、令和2年に皆川クリニックを開設。日本泌尿器科学会、日本泌尿器内視鏡学会、日本抗加齢医学会、泌尿器抗加齢医学研究会、GSM研究会、日本女性骨盤底医学会、日本メンズヘルス医学会、日本美容皮膚科学会に所属。
Best Doctors in Japan 2024-2025にも選出。ベストドクターズ公式サイト:https://bestdoctors.com/japan/

